月に寄りそう乙女の作法2レビュー

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2014年発売予定のNavel新作『月に寄りそう乙女の作法2』を応援しています!

 総評:前作、前々作に比べると非常に安定感のある丁寧なシナリオ。逆に「安定感」がありすぎて平凡なシナリオになっていたのが残念

全体評価

 

 

1つ目に前作主人公の「遊星との生き方が根本から違う」ということも有るのでしょう、弱かった。

前作ヒロイン、いや主人公遊星は忌み嫌われてる子で有り大蔵の恥子(公式的に)であり、ルナ様のヒロインでもある訳で、主人公と言いながらもヒロインな訳で「全体的にいい子」でした。後、大蔵の兄様が異様な偏愛を持ち続けられて苦労するという、設定からしても不憫で応援したくなる子でした。

対する才華はというと。ルナ様と前作主人公の子どもであり、性格はどちらかというとルナ様に近い。妹アトレのほうが遊星こと朝日ちゃんに似てるという感じですし、兄様も遊星に対する愛情というか異様な愛情を向けない。

才華自身遊星と違い立派な家族に育てられ、不幸を見ていないというか、生まれや育ち、そして兄様からの愛情の受け方などまるっきり遊星と違う人生を歩んでるわけで、エロゲーの主人公としてという立場なら才華の方が正しいです。でも、月乙をやっているプレイヤーとしては如何せん大人しくなりすぎた兄様に違和感を覚えたり、アフターアフターでルナ様とくっついたという関係で総裁(りそな)が良い思いをしていないという事を踏まえるとなんとなくナンバリングタイトルになってはいますが求めていた「月に寄りそう乙女の作法」じゃないんだよなぁと。まぁしょうがないんですけどもね。

後、父親に対する嫌悪感を感じるというのも逆に月乙ファンからするとイラッと感じてしまうポイントだったのかもしれない。朝日はどうしようもない過程で女装し、桜小路の桜屋敷に潜り込む必要性という背景があった。しかし才華はどうだろう、「小倉朝日」になる必要性があったのだろうか?と思ってしまう。

2つ目に「乙リロ」という高い高い壁、皆が幸せになれるFDが存在がしなければ2014年屈指のゲームになれたのではないかと。

3つ目にキャラクターが薄い。やっぱり悪役たる悪役がいなかったのもポイントかもしれません。兄様は憎めない超悪役というポジションだったのが、甥っ子である才華を応援しちゃうぐらいある意味ダメに成ってます。まぁ、瑞穂やらが居なくなったのは良かったのか悪かったのか、そこら辺微妙。

大蔵の家は相変わらず気持ち悪いんですが、衣遠が遊星に気持ちの悪いぐらい粘着していた度合いと才華に対する気持ちの悪さの度合いが違うんです。まぁ、公式で「見守る側」とハッキリ言っているので兄様は兄様であって、昔の兄様ではないと解釈したほうが無難なんだなーと思う。最も男でも女でも犯してしまい自分の手の中に無理やり入れようとする気持ちの悪い、腹が立つ兄様はやっぱり気持ち悪いながらも最高の悪役だということかなぁ。

月乙は悪役たる悪役である兄様のキャラクター性、恋人に為ってからの駄目ユーシェとか八千代さんじゅっさいとか魅力のあるキャラクターがいなかったのですよねー。妹りそなポジのアトレが薄かった。妹、もっとブラコンしていいのよ?!

結局、「月乙」で遊星と桜屋敷、大蔵の話はケリが付いてるわけでもうどうしようもないわけなんですよねぇ。話の広げようがない。

プレイヤーとすると相対的に粗(湊や瑞穂)が目立つけれども輝くヒロインというか輝く主人(ルナ様)を持つ月乙の方が面白かったのか、相対的に粗の少ない、逆を言えばヒロインごとに輝くような差があるようなシナリオではなく、万人に受ける安定したシナリオを求めるのならば月乙2、となってしまう現実的にはどっちつかずのゲームのどちらが面白かったか、というと前前作と前作という答えになってしまう残念さは個人的に感じた。

特に「乙りろ」は逆境からのりそなを見ているわけで、其の話はとてもドラマチック、見ていて爽快感のあるシナリオだったが故に、”安定感のありすぎる”「月乙2」はしょうがないかなーという気はしないでもないです。革新的な意味では「月乙」、「つり乙」の方が断然面白かったし、だけど…というポイントがあった。「月乙2」は安定してる。嫌いなキャラが居ない。ジャス子にしろいせたんにしろ、まるきゅーにしろ、山県にしろ、あのアンソニーの息子にしろ嫌悪感を抱くキャラが居なかった。驚くべきことに、嫌悪感を抱くというのはある種のキャラ設定のスパイスになるのだなぁという事を逆に感じたゲームと言えるかもしれない。

でも、ジャス子や紅葉、アトレにルミ姉、朔莉、いせたんと輝ける原石は存在するので是非FDで活躍するところを見たい所存。後、N.Yに居るという初代主従コンビも見たい。

正直に言うと主人公「才華」が一番嫌悪感を感じたキャラかもしれない。最も、前主人公や主従コンビをエスト&才華で超えるというのは些か厳しい部分がある、といえるのかも知れない。

最も、SEXに対する拒絶とか、「性差」を表現するキャラクターとしていても良かったんじゃないかなと思う。序盤に父と母が倒錯したSEXしていてそれを見て父に嫌悪感を抱いた、という部分を書き出すならばもっと父親に対する嫌悪とか「男」である自分に対する気持ちの悪さとか、そういった部分を表現すればもっと違った受け手に感じれたかもしれない。女装して「小倉朝日」を名乗る才華が「女である自分」や「女性に傅く自分」を写しだしてああこれが心地いいんだ、と感じるぐらい気持ち悪い子でも良かったと思う。

でもどちらにしろ遊星とルナ様がパーフェクトオブパーフェクトであるから、それを否定されると「月乙」、「乙りろ」が好きだったプレイヤーの否定材料になるからなんとも言えないというこの微妙な感じ。

まぁ、80%以上もFDを出して欲しいという要望があるからどういったかたちでもいいので「乙りろ」っぽいFDを出してエスト&才華の新主従コンビのカタチやアトレ、ルミ姉の大蔵家×桜小路家の話を見たいなぁという気にはなる。

勿論、朔莉とルミ姉のヒロイン力としての魅力はちょっと少なかったが、(それでも朔莉の気持ちの悪さやチョロインっぽさはこのゲームで1,2を争うぐらい好きである)原石と言えるものは持ち合わせているので磨けば前前作ユーシェ、前作メリルあたりのヒロインにはなるんじゃないかな。

遊星を「小倉朝日」ととらえるならば、ルナ様の嫁であり、兄様からの偏愛を受ける象徴、才華は「桜小路才華」であり、いくら女装しても「小倉朝日」では無いんだよなぁ。

…結局のところそういうことなんだろうね。満足できてないポイントって。遊星が朝日ちゃん過ぎたってことかな…。

 

 

  •  桜小路ルナアフターアフター

すべてにおいて素晴らしいルナ様のアフターアフターを見れたのはとても良かった。

勿論ルナ様アフターなので妹は割食っちゃってますが…まぁ妹乙りろで夢見れたから良いよね、妹…。

しかし相変わらずここのゲームはバグが多過ぎ。

見たはずのCGが登録されてなかったりそもそもHシーン登録されてなかったりね…。

まぁルナ様アフターアフターをやったのならば、是非「総裁りそなアフターアフター」お願いします。