総評
槇島祐未と八坂典史と言う主人公カップル2人に焦点を当てつつ
基本的には周りの幼馴染の扶や難病を抱える妹を持つ亮輔、OBの関矢先輩の3人の視点から物語が語られます
TRUEはまた過去の人物と祐未の近しい人物が関わってきて動きにくかった人物たちをより惹きつけ悪く言えば引っ掻き回す展開になりますが、これもまた最高
過去のいざこざで好きあっているにも関わらずもどかしい関係を生み出している喧嘩っ早い2人を見つめるのが基本なんですがこれがまた切ない
NTRは有りません、視点が男になりますが基本的に典史×祐未のカップル成立を見届ける流れになります
何度も何度も近寄って反発して最終的に結ばれ…そうになるけどもそうならない
僕たちは青春をしながら恋や愛に近い何かを抱いたけどもそれはそれで結局恋ではないんだよっていうすごい残酷な群像劇
性質上三角関係にもなりますがWA2やS=Rや君望みたいにドロドロしてないのがまたこのゲームの切ない部分といいますか、好きな部分では有りますね
そして声優さんの熱演です
視点が変わると出てくるキャラクターが変わるのですが何と言っても扶・亮輔・関屋先輩・TRUEの3人は豪華声優です
ネオロマンスとか一昔の乙女ゲーで見たキャストですね
エロゲ的な意味でというわけではなく豪華なので聞くだけでもポイントが高い
勿論、八坂典史という人物も槇島祐未もぴったりと言っていい具合に似合っていますがサブキャラ3人は超えられんなぁと思ったり
個人的には扶ルート視点の扶失恋演技がドチャクソ好き、あんな見事な敗北はなかなか見られない
幼馴染の兄貴分でリーダー的存在、どんなときも真っ先に立ち上がる扶ですが物語の関係性を深めるためのサブキャラなのでどーにもこうにもうまくいきません
関屋先輩ルートでの飛島キャンセル扶が「どう見えるか」
大人びていて理解が高い扶が失恋を経験したことに寄って年齢相応にしょげている部分をどう感じるかもポイントは高いです
後は亮輔シナリオの妹の朋子、歳の割に大人びている達観している部分と年相応の幼さの噛み合い方が非常に好きです
この子も亮輔シナリオの敗北者になるのがまた美しい
無垢な少女が失恋によって成長していく物語
読まずにはいられないって当にこういうシナリオを言うんだろうと
長い長いって言われていますがルートに入っちゃえば本当にサクサク進む意味もあって神です
昔は余り物がくっついたようなGrand ルートそんなに好きじゃなかったんですが今見ると祐未と典史以外の青春を駆け抜けたカップルの答えとその将来の先が見えているので
心操をちゃんと読んでいると逆にある意味スッキリします、逆に典史と祐未は幸せな未来を想像しますが対等に戦える関係を望んでいる以上好き会っていても結局のところ省吾の親ではないですがその道を否応なしに選ぶ事を求められてしまうという残酷な部分も持ち合わせています
当然、ハッピーエンド至上主義の人からすると認められない尖った作品ではあるものの、結局こいつら3ルートやって睦言交わしイチャイチャしてるけどそんなうまくいかねぇ面倒な関係なんだよなー祐未の弟は呪いのような言葉を告げて亡くなっていったなと思います
逆に泰斗が本当に呪いをかけていなければもっと素直にコンパクトにまとまったかもしれません
でも典史がカメラをはじめたのは祐未がきっかけですし祐未は典史の情熱に当てられてモデルになった、泰斗は写真を撮ることもモデルになることも出来ないからこそ絵を極めた
三者三様の情熱の果てがあるからこそ、結ばれない
でもその結果が悪い意味の結ばれないではないのでキラキラした青春の1ページを見つつ是非プレイして欲しいなと
ちゃんと「物語」としてはこれ以上無く美しく完結している
それが恋であれ高め合うライバルであれ仲間であれ敵であれ、関係は違えど結果的に皆「恋ではない」
そういう意味で非常に良く出来ている話ではあるものの、報われないから美しい
歪な関係だからこそ成り立つと言う物語が好きではない人には劇薬です、逆にそれが好きな人にとっても劇薬です
あまりにも隠れすぎてる名作だと思っていますが
絶対万人受けはしません、なんならこんな恋愛関係ストーリーが刺さってるようないびつな人間こそライト層のゲームが向かないと思います
ですがあかべぇそふとの中の隠れた1作だと思うので是非にやってほしい1作でも有ります
こんな人におすすめ
面倒な恋が好きな人
冬ゲーやりたい人
ガッツリシナリオ読みたい人
intro
自分の気持ちの決意を決めるためと(前にやったときもそうなんですが)「Dancing in the Moment」が大好きなので再プレイ
といっても「恋ではなく―」自体が初回プレイから激ハマりすぎたのでそんなに時間もかからないだろうなとも思っていたところと季節が移り変わっていく最中というのも合ってプレイしたという部分は有ります
「
思い合っている2人がどうして結ばれないのか 」という物語にものすごく弱いので再度思い出したかったという部分ですね
どんな美少女ゲームでも2人で結ばれ問題にぶち当たりそれを解決し2人でまた幸せになる並びに祝福されると言うのが一般的な「恋愛」ゲームではあるもののこれに関しては
過去に何かあった2人が(想い合っては居るけども)素直になれず映画撮影を通じ残り数カ月間の学生生活と青春をかけ続けながら最終的に典史と祐未が結ばれ…ないって言うのがすごい特徴的なんですよね
それも三角関係やなんらかの問題みたいなことでは無く本当に2人の譲れない思いと気持ちに拠る寄与する関係と問題なので人によってはこんなことですれ違って結ばれないんだ?と思う部分も有るでしょう
だがそこが良いので…
ブランド・ジャンル・プレイ時間
ブランド:しゃんぐりらすま~と
ジャンル:青春群像ADV
プレイ時間:25時間ぐらい
ストーリー・設定
季節も移ろう雪の舞い散る酒田市
そこのデジタルメディア同好会・写真部の先輩たちを送り出す準備とともに最後の映画一本を作らないかと言う話が舞い込んでくる最中に
W主人公でヒロインでもある槇島祐未はファッションモデルをやりながら何気なく写真部に入部する事を決意する
そこでは幼馴染である弟分、そして3年前の因縁を抱える主人公である八坂典史、幼馴染でガキ大将だった阿藤扶、病気の妹を励ますために映画撮影に協力する林亮輔、デジタルメディア同好会のOBである関屋尚人と出会うことになる(NTRはありません)
写真部の部長であり引退済みの宇渡美月や屋谷好佳とも仲良くなり、映画撮影に協力することになる祐未
レンズ越しに伝わるやりきれない情愛・因縁・その他諸々
衝突し合う祐未と典史だがやがては元の関係に戻れるのだろうか?
そして残り数ヶ月でこのメンバーとも離れ離れになる最初で最後の1作、どのような結末を迎えるのか?
グラフィック・音楽・演出の特徴
間違いない、本当に美麗
BGM:Barbarian On The Groove
恋ではなくを彩っているのはトモセシュンサクだけではなくBGMもあるだろうなとは思います
散々「Dancing the moment」が好きと入っていましたが「ReflectionS」と「永遠の絆」もめちゃくちゃいい
それでもまぁ「Dancing the moment」なんすけどね…
システム
こんな感じでカメラ関係にはTipsが出てきて解説が入ります
物語としては青春群像劇なんであんまりTips読まないですが
シナリオ
後、祐未と典史と言う主人公カップル2人に焦点を当てつつ
周りの幼馴染の扶や難病を抱える妹を持つ亮輔、OBの関矢先輩の3人の視点が実質の分岐で物語は進んでいきます
これだけみるとサブキャラの男と祐未が何かあるのではないか?と読んでしまう部分は有りますが全くそんな事はありません
後数ヶ月の部活のメンバーで作り上げつる1作ゆえの将来、過去の因縁、プライド、恋愛、その他諸々の衝突だらけ
特に弟分であった典史は祐未の加入を快く思っておらず顔を見合わせば口論になってばかり
そんな中、クリスマス前飛島に皆でロケに行くことになり…
キャラクター
阿藤扶ルート
典史視点でも祐未視点でもなんとなく語られますが幼馴染の兄貴分で非常に面倒見の良い、良く言えば当て馬で不憫なあっちゃん
祐未のことを思っているのにもかかわらず典史の事もありなかなか踏み出せない関係では居た
その面倒見の良さ故に思いが伝わらないのが扶視点と言ってもいいと思います
告白するぞ、するぞと意気込んではいるもののその一歩が踏み出せず居たもののなんとか飛島で典史や映画撮影の面々の後押しによって祐未に告白できたものの祐未の顔色はあまり優れず告白の答えを延期されてしまう結果となる
典史は一本のカメラを祐未に渡し、被写体であった祐未だけとびきり美しく映る写真を見てしまった祐未の心は余計揺れだしてしまう
フェリー欠航の影響で飛島で一週間過ごしたら祐未と典史の心の距離が扶以上に近づいてしまい、3年前の謝罪と和解を持ち出し幼馴染の距離に戻っていく部分等は美しいんですが本当にあっちゃんがやりきれねぇ~って感じなんですよね
祐未が典史の蓉子から貰える気持ちを知っていれば
典史が祐未の抱える泰斗への思いを知っていれば
多分こんなに2人でいがみ合う結果にはならなかったのにも関わらず、です
最後の2人でお互いの贖罪をするため互いに自分が、私が扶への謝罪を行わなければ/しなければと問答するのも祐未と典史の似ていて惹かれ合ってしまうポイントだと思います
変に誠実なんですよねこの2人
ただこの2人は誠実ではあるものの自分以外の周りのことを見れなくなってしまう悪さもあるせいで兄貴分の扶からはすべてお見通しで…というのがまたとてもシンドいポイント
義務SEXシーン(まぁしょうがない)を挟んで一晩過ごしてイチャイチャするものの、最後の最後の別視点は胸を打ちました
デジ同会長の宏一の前では盛大に張っていた虚勢が好佳の目の前で消えるシーンがすっごい美しくて好きです
ある意味で非常に盛大に大人、勿論祐未や典史と言ったくだらないことで張り合う幼い2人と扶だと圧倒的に思考が大人なのは扶であったのでここまで惨敗して無様に泣くのがあっちゃんのやりきれないポイントで大好きな部分でも有り
そして好佳が抱いていく謎の感情、それは愛とか恋とかではないもっともっと小さいものだけど
阿藤扶という人物に対して何かが生まれてきている で締めてるのも好きポイント過ぎる
そう、そして結ばれた祐未と典史なんですがその関係も明るくないんです
以前にも書いてあるんですが
モデルである祐未はその将来を見据え酒田から東京へ何れ場所を移す
典史は後1年学園で生活を送り写真家になるのか、家を継ぐのかわからないですがその将来もわからない
と言うあたり祐未自体が将来を推測しているように感じるのですよね
ラストの一緒に写真を撮ったりするシーンぐらいしかイチャラブしてないのですが、それが余計に将来的に典史と祐未が別れ、撮った写真を見てああいい思い出だったねぇ、そんな恋愛していたね、って数年後語り合いそうな感じなのですよね。
それ散るのOPを思い出すというか…。
今は二人「恋」という魔法にかかっているけれども、それはまやかしで将来は別の道に歩いて行きそうなのですよねぇ。
だから結ばれてもこの2人の関係もきっと全然明るくないんですよ
きっと扶の居ないところでまたシッチャカメッチャカやるんだろうな、と思うところで切れてるのも好きポイント高い
過去の自分良いこと書いてるじゃん…
多視点から見つめる「恋でもなく愛でもない何かで結ばれている2人」と「恋でもなく愛でもないものが生まれてきている2人」の成立が上手いなぁと思いました
林亮輔&朋子ルート
1番好きと言っても過言ではないルートです
勿論別の意味で「恋ではなく」と言っても過言でないインパクトを募ったルートとも言えますが
クリスマスが近づき飛島で過ごす予定だったメンバー全員ですが朋子の優れない容体を気にして亮輔は飛島ロケを断るところからスタート
そこから扶が朋子の為に飛島ロケを無くし、他ルートでは見れない祐未に対する執着を無くす姿もあります、これは後々亮輔と偽の恋人関係を祐未が結ぶ上で必要だったんだと思うんですがあっちゃん…どうして…
酒田の映像をツギハギして作品は完成、なんとか人の前に出せる程度のものが仕上がり泰斗の事もあり亮輔の妹である朋子の見舞い役をはじめる祐未と典史
朋子は本当の姉のように祐未を慕い、典史には兄には感じない特別な感情を募らせるようになっていきます
そして朋子に訪れる成長の証、はじめてのブラ、初潮
朋子は病気が治癒した証にははじめての夜を典史と過ごしたいとどんどん典史に対する思いを祐未に対してぶつけていきます
本音をいうと朋子に対して深煎りしてほしくないことを祐未は典史に告げるものの現実はそうも行かず距離は近づいていく、しかし朋子の望んだ一線は絶対行わない典史
のらりくらりと躱す祐未ではあったものの亮輔からの提案が訪れる、そう典史と朋子をくっつける上で亮輔と祐未が恋人関係にならないかという提案
祐未はそれとは別に蓉子への贖罪もあり、典史への気持ちがどうなるのかが分からず亮輔との誘いに乗ることに
対する典史は泰斗への贖罪の気持ちと泰斗と重ねて朋子を見つめ、関係を進めていく
手術が行われる前日、不安になった朋子の見舞いに祐未は訪れ今度こそはっきり典史と結ばれて欲しいとの願いを伝えますが典史の見る視線はずっと朋子ではなく祐未であった
手術が成功し見舞いに行く典史であったが結局のところ心を見透かされ、単に朋子に対する思いは泰斗を重ねて見ていただけで恋でも愛でも無いなんでも無いものだったということ
慟哭する朋子であったものの最終的に納得をして”兄のような存在の典史が好きだった” と自分の心をまとめ典史に対して別れを告げる
草柳順子氏の演技がまたすごい上手いというのも差っ引いても朋子のやりきれない思いとここは突っ張ってもどうやっても関係が進むわけじゃないと理解し引いていく演技が脳を焼くんですよねこれ
朋子の為に死力を尽くした槇島父の姿を見て祐未はモデル業と共に一浪して槇島医院を継ごうとあの場所で決意を固める
そして典史を東京で待つ、と
典史は典史で思いを重ね合ったのだから睦言を交わしあった僕たちは出会うことが出来るだろうと別れます
あんなバカップルみたいな長いHシーンしてサァ!睦言交わしてるのにサァ!
これもまた良くってぇ…
でも一晩過ごしたポートレートはハッキリ破いてるんですよねこの2人
持っててとは言うものの今後の関係性をしっかり表してんじゃねぇか…みたいな気分になるという大好きなピロートーク
これだけ周りの人物を振り回しているのにもかかわらず今後の恋愛関係が上手くいかないだろうなと言うような描写、くぅ~これっすよこれっすよ…
当に「恋ではなく」と言う象徴みたいなのが林兄妹ルートだと思っていて、本当にこれはすっぱり書いてくれている
そしてEDが流れてからのCパート(?アフターストーリー?
大体ここは扶の出番が多かったですが流石に林兄妹のシナリオなので2人が焦点になるんですが
さよなら私のお兄ちゃん、もう私は子どもでは居られないとかそれもそれで染みるんですが
くぅ~これこれこれ~~~
1人の女の子が失恋をして大人になっていく描写があまりにも沁みます
初潮が来るか来ないかぐらいの少女のあまりにも硬い決意がすごく好きでぇ…はい…
その後、別に何があったのか朋子も亮輔も深くは語りません
だって2人は間違いなく「恋」していたんだから
偽物でも本物でも関係のない本当の恋をしていたからこそわかる失恋の間というか空気感が最高です
軽い修羅場みたいなのはあってもそれでも周りが許しちゃうのでそこまですごいド修羅場の重苦しい空気ではない「痛い」ゲームなのが最高なんです、恋ではなく
お前らここまで周りの人達振り回して結局くっつかないのかよ!めんどくせぇわバカ!って感情になる人とそっかぁ…そっかぁ…ってなる人の2種類が存在すると思います
少なくとも朋子に関しては失恋という経験をした少女が大人になっていく為の物語としての読み物完成度が非常に高いです
おすすめルート
全部オススメです
祐未と典史という最高に面倒くさい2人を眺めながら結局振り回されている皆全員面倒くさくて不器用でおとなになれなくて…というすべてが詰まってる
ただそういうのに苛つきを感じる人はやめたほうがいいです
バチクソ刺さる人と刺さらない人がはっきりしてるゲームとも言えますね
いやー最高だった、11年前とは違う感想がまた生まれてそれも最高でした
林亮輔&朋子ルートも扶ルートも神だし大人になって関屋先輩の良さとグランドルートの全員の青春群像劇を見れたのも満点
また数年後にやりたいゲームです、裕美社長の1番曲は「Dancing in the Moment」これは譲れん…
控えめに早狩武志の最高傑作がこれではないですかね?説まで生まれてきました
みんな何かを抱え誰かに恋し、成就したりしなかったりする
WA2や君望のように誰かのせいで噛み違えて恋が成就しない三角関係ではない
でもその「抱えた思い」こそがいびつでも輝いている掛け替えのない青春の1ページだと読み込めるのであればこれ以上無い青春群像劇は無いんじゃないかなと思います