家族だからこそ、愛しているから殺されたい。
- 出版社/メーカー: ALcot ハニカム
- 発売日: 2014/08/29
- メディア: DVD-ROM
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総評
家族のために死ねますか?愛する人の為に命を捧げる覚悟はあるのですか?と問われている悲恋ゲー。鬱要素はなし。
シナリオ雑感
ルートが一本道、且つ ヒロイン三人(うち二人の個別ルートはかなり短い)ということで、非常にあっさりとした作品。
「あえて無視する君との未来」より「春季限定ポコ・ア・ポコ!」の方にシナリオは近め。
直→瑠璃→悠(True)と進めたわけですけれども、一番出来が良かったのは、共通~直ルートかな、と。
一章の自分が普通の人間ではないと気づく当たりの描写がすごく良かった。
直ルートは人外(人魚)と人間との恋愛模様を描くわけであって、そこでの悲恋がとても美しかった。
何度も別れようと行動するイズミに対し実直な思いをぶつける直ルートは儚く、とても美しく感じられ、一番「人魚」と関係が無いにも関わらず一番感動したルートかなと。彼女の存在が「日常」であってイズミの平穏であったが故に余計切なく美しいルートだったと思うのです。
キャラクターで言うと新田瑠璃が良かったな。クールで格好良いお姉ちゃん。有栖川みや美さんの声も相まって非常に格好良いお姉ちゃんでした。
序盤のまだ覚醒していないイズミにいろいろ忠告したり、姉と分かってからの瑠璃姐さんと悠、イズミとの姉弟関係は微笑ましかったし、瀬尾順らしい読みやすいシナリオ展開であったと思う。
問題は瑠璃と悠なんだよなぁ。もっと悠に関しては生々しい描写が欲しかったと思うし、瑠璃に関しても何か消化不良な所があって微妙な感じ。
しびれるぐらい面白かったのはとにかく1章。相羽が妹美月の為に殺人を行っていたあたりが一番興奮したし面白かった。でもラストはどうだろう、生きていた価値あったのかな、と。戦って敗れて死亡って言うのは王道中の王道なんだけど、その王道をひっくり返された時の置き去り感は半端無かったな。
問題は養父加納問題に対してもイズナの問題に関してもそう。もっと優しさを感じられたら加納にも感情移入できたと思うのだけれども、結局、植物人間状態で一方的に会話しているせいで全く愛情を感じられないので、貯金に関してどう思えばいいのかとフクザツな気分になるわけですよ。
プレイヤー=加納イズミな訳で、イズミ視点からするとただ養父や養母に虐待されていた、生きているのが辛かったという心理描写が一方的に描かれると余計感情移入しにくくなっちゃうわけでねぇ。
人魚の設定もなぁ。置き去りにされた感じはする。結局「人魚」っていう人外が身内でドンパチやってるようにしか見えなかったのが残念なのかもなー。
個人的には「ポコ・ア・ポコ」の「悠木春花」(個人的にはポコ・ア・ポコで一番好き)ただけでも嬉しかった。まぁ辛いのは春花にしろ、イズミにしろ幸せになれないと言う部分なのですが、しょうがないなぁという感想になってしまうのですよね。
「人魚」の設定、イズナの設定、相葉兄妹の設定、そこらへんをもっとうまくまとめて欲しかったなぁ。ホント惜しい作品だった。
Hシーン・CGなど
覚醒時赤目になる瑠璃お姉ちゃん、悠がかっこ良すぎる。
Hシーンは特に可もなく不可もなく。
システム
うーん。マウスジェスチャとか付いてましたけどあんまり使わなかったなー。
というかサツコイは一本シナリオだし選択肢1本だけだし戻るのは要らなかったかなぁ。
まぁいつものALcotだな、と。
サツコイ系のサスペンスも面白いですが、やっぱりAlcotハニカム×瀬尾順ならば「青春モノ」を書いて欲しいですね。