僕と仲間たちとの少し不思議な青春物語
あえて無視するキミとの未来 ~Relay broadcast~
- 出版社/メーカー: ALcot ハニカム
- 発売日: 2012/11/30
- メディア: DVD-ROM
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総評&雑感
割りと小じんまりとまとまっているゲームだったなぁ、と言う感じ。
フルプラだとちょっと高めかな。
まぁAlcotハニカム文庫なのであまり長いシナリオだろうとも思っていなかったし、ポコ・ア・ポコのシナリオライター「瀬尾順」さんだったので大きな壁にぶち当たったり、大きな問題が生じたりとかはしないだろうな、と想像していましたがまさにその通りのストーリーで良かった。
問題は「未来視」かな。未来視がテーマであっても結局メインテーマとして使われるのは爽花のシナリオだけだし、後は放送部でワイワイガヤガヤ青春しているのがメインだったのでSF目的だと肩透かしを食らうかもしれない。
けどまーポコ・ア・ポコと一緒で「嫌い」になるキャラが居らずあの放送部の空間が本当に心地よい雰囲気を醸し出していてもうちょっと浸りたいというなんとなくノスタルジーを感じてしまったりなんかしたり。
ALcot文庫はホント粗がない丁寧な作品を作りますねぇ。
そして、「真鍋計」という最強最高の幼馴染キャラを創りだしてくれてホント良かった。もうなんつーかシナリオから良かったし真鍋計はここ数年語り継がれるレベルの良幼馴染キャラかもしれない。もうすべてが可愛い。お計さんとナナギーとのやりとりだけでセーブ埋まったよ!(後は選択しのみ)
南先輩のシナリオはキツイですが、真鍋計のシナリオは最高なのでくじけずにやって欲しいですな。
桐谷華さんのオナニーCDまだですか。
沢渡拓郎(旧姓:片瀬拓郎)
ポコ・ア・ポコと違って熱血漢。
共通ルートは拓郎と計とナナギで構成されてるようなもんだと思うぐらいやりとりが面白すぎる野郎。
まぁ、七凪が熱を出してしまい沢渡父が車のスピード出しすぎた結果が故にナナギや義母、義父とうまくいかない理由も分かったりした結果、ちょっとやんちゃな時期もあったなーって感じですか。
それが嫌な風に描かれているわけでは無いし、恨んだ過去を無かったことにしているわけでもなく向き合って、爽花ルートなどでは特にちゃんと未来に向き合って生きるように努力している様子がかっこよかった。後、FMラジオ塔の修繕。
FMラジオ塔の修繕は壊した水泳部がやっても良かったと思うんだけどねー。
南先輩
良いキャラしてると思うんだけど、先輩のために皆の青春を使うというのはなんか腑に落ちない。折角学園祭が開かれるというのを心待ちにしてた美咲に対してなんかなーと言う気分をもたらせてくれた。
先輩ルートで輝いていたのは先輩じゃなくて、小豆せんせーと湯川ナナカパイセンだったという感じ。
小豆せんせーは乱暴な拓郎の行動に対して必死でフォローして顧問の役目をちゃんと果たしてたし、ナナカパイセンは結局、水泳部で浮いていた先輩を口では心配してないように見えてちゃんと心配してたツンデレーなお人だったのでな。
どっちかというと学園長が「親ばか」なのか「学園長」なのか立場がはっきりしてないっつーかぶれてるのよねぇ。
先輩も学園長(父)に対してちゃんと意思をぶつけてるのに、なんか学部長は逃げてた感がアリアリなのよな。結局、意思をぶつけてるのに結局傀儡にされちゃうしさ。
そして、学部長の煽り耐性が低すぎる。可愛い娘が部活でいじめられてたらそりゃ権限でやめさせるのも納得はいくし、かといって娘が『続けたい!』って気持ちを伝えても駄目だとか否定に入る訳で。どっちの立場になりたいのか不明だったなー。
このルートはぼっちだった先輩を中心に青春する!って感じのつもりなのかな、ライターさんのイメージだと。
七凪
Alcot伝統、駄妹(マイシスター)
なんつーかポコ・ア・ポコの駄妹より賢いから余計たちが悪いというか黒可愛い。
勿論、「家族」というテーマのシナリオ的には面白かったかなーと思うけど、ちょっとインパクト薄いかなと言う印象。
このルートだと放送部とナナギーを放おって元々居た孤児院の送別会に行ってしまう拓郎にイラッとした。
いくらお世話になった人だとしても折角「学園祭」って言う大舞台があるのに、その舞台を諦めて…っていうのは個人的にあんまり好きじゃない。
過去の恩人を感謝するために行くっていうのは当然のことだし、自分の過去を肯定するためにとった行動なんだろうけど、あんまりねぇ…。
カノギでもそうだったんだけど、舞台とか演劇とかわざわざ時間をとって練習していたのにドタキャンするのは見てるこっちもイラっとするんだよなぁ。それも前日に脚本渡すとかそういうの好きじゃないんだよなぁ。
幼馴染>家族=部活の友人たちって図式になっちゃってるのが微妙な感じにしてるのかなー。まぁ、あれだけ献身的に幼いナナギの面倒を見ていたらそりゃブラコンになりますわ。
義母さんは過去・現在まで片瀬(亡くなった拓郎の両親)の人たちを殺してしまったという罪悪感をひしひし感じてるのは分かるんだけど、もっと早くナナギに伝えておくべきじゃなかったのかな、とか結果的にナナギをフォローしてるのはお計さんコト真鍋計と流々の幼馴染コンビな訳で、ナナギもナナギで動けなくなってるしで、輝いていたのはナナギよりも真壁計だったという辛いオチ。
真鍋計
桐谷華+アホの娘+Alcot+幼馴染
最強じゃねぇですか?
そしてどのルートよりも
青春し過ぎだろう
また、なんというか優しいんっすよ、計ちゃん!
アホの子なんだけど、アホの子なんだけど、ささくれていた心を溶かしてくれるような感じでたまらないんですよ。勿論、流々の影響もあるんだろうが。
未来は見えるけど、人の心は見えないわけで
すべての人に優しくしたいけど、きっとそんなことは不可能で
きっとこれから先もどうしようもなく人に迷惑かけたり傷つけたりすることもあるわけで
まあ流々が拓郎に惚れてるのはもう見え見えだったわけですけども、叶わない未来と、現在と交差して転校しなくてはならない理由が切なすぎるだよなー。
バカップル(駄カップル)してる計と拓郎を見ながら拓郎に恋することは出来ても、恋心が叶うわけではないと計の為にお膳立てして自分は一歩下がっている流々はとても良いサブキャラだったかと。
ナナギルートでナナギをフォローしていたのは間違いなく計。
でも計ルートでは流々というライバルであり友の存在が大きく変えたんであろうなーと。
それも、「今でも好き」という気持ちを持っているのにも関わらず、計にも本当の気持ちを言えと言われても最後の最後まで気持ちを誤魔化して
親友の計を泣かすなよ!
と電車で去っていく流々を追いかけてさよならするシーンは間違いなく幼いころ出来なかった部分の再現なんだろうなと。
まったくもって素直になれない幼馴染流々は最高の愛すべきサブキャラ。
ああ、ルートがあったら脇舐めしたかった…
爽花
一番「未来視」が使われていたルートだったかと。
またどうして爽花が学園祭に拘っていたのかというのも、自分の未来が夏以降見れないからという理由で青春していたかった、というのも納得出来たし、「あえて無視するキミとの未来 ~Relay broadcast~」というのは爽花の事だったのかーと納得。
ゲームをプレイしてる自分にとっては「未来視」を嫌がっていた拓郎が見えてる未来を無視する話なのかなと思ったら全くもって違っていたところとかうまいなーと。
エンディングとしてはインパクトがそんなにある訳ではなく、淡々としていたイメージが強いんですが、ほんとにサブキャラたちが良い。
未来視のトラウマも全然放送部の皆は気にしないし、むしろ本当のことを言ってくれて良かったと言えるくらいの仲間であるという、幸せは爽花にとっても拓郎にとってもかけがえのない出来事だったんじゃないかなーと思う。
ポコ・ア・ポコが春のちょっとした出来事だったのならば、「あえて無視する君との未来」は夏から秋へ変わるちょっとした「すこし 不思議な」物語だったのでは無いかな。