総評
20年近く前の名作泣きゲー
田中ロミオというだけでテンポよく会話が進み読みやすく、ヒロインの加奈が主人公の隆道にとってどんなに大切な存在なのか、守らなければならない存在なのか、それでも好きになってしまうという義妹モノの葛藤もあったりする
泣きゲーというけれどぶっ刺さる程の泣きかどうかは人次第かなーと
「生死観」がメインにしたい話なので鬱っぽい・悲しい・辛い・みたいなのが嫌な人は厳しいかも
それでもKanonやAIRやCLANNADにみたいにガッツリ弱っていく描写をするわけではないので真琴・栞とか観鈴・渚・汐みたいな辛さは無いです、あっちは弱っていく描写をガッツリ書いてて解決できない主人公に対して苛立ちも覚えますけどそういうのは無い
未来がまだある隆道もどうやって生きていくのか、まさにドラマって感じで
順番は知的エンドからノーマルが良いかな、グッドエピソードはラストで
個人的に「泣き」はしなかったけど心にぶっ刺さった良エロゲ
1周大体10～12時間でルート埋めに＋1～2時間ってところですか
シナリオ
2個下の妹の加奈は慢性腎不全で日々透析をしている
小学生になって、中学生になって、高校生になって、大学生になって、
そんな普通の日々を望んでいたいけれど現実はそんなに甘くない
幼馴染の夕美や加奈に思いを寄せている伊藤を巻き込んで加奈の人生を見届ける話
ドナーやホスピスなどの話も混ざって重いのに「読みやすい」作品でとてもいい
エロ・CG
まあ20年前だし古くて当然というか
一応エロシーン動くんですけどいらなかったなー
健気な加奈は可愛かったけどインモラルというか一線を越えようとする勇気がありすぎて
ノーマルエンド
夕美エンドで加奈を選ぶとこれ
一番胸に来たかな
夕美とくっつく訳でもないけどいい友だちで居るし、加奈の思いをちゃんと受け取り前を向いて生きていくんだと頑張る隆道、それでも加奈のボイスメッセージを聞いて涙を流し弱いところを見せてしまうけれど
それでもずっと守ってきた加奈の思いと夕美の思いを抱えていこうとする姿勢がとても良かった
知的END2の「おもいで」と似ているところはあるけどボイスメッセージのほうが強い
夕美エンド
ところ変わって夕美エンド
幼い頃からずっと見てきてくれた夕美といちゃつくシナリオかな！って思ったらそんなことも無く
最終的にドナーになるけれども結局加奈を失い統合失調症患者・廃人化してしまう姿がとても痛々しい
夕美に諭されてなんとか元に戻ったけれども
壊れた隆道をなんとかしようとする夕美は君望の水月みたいに見えましたな
知的END1「雪」
「兄妹」だけど「兄妹」じゃなくて
個人的に加奈と主人公は「兄と妹」の関係で守ってあげたい/守られている存在だったので選択肢で抱きはしなかったんですけど重い
でも「加奈」とすると「加奈らしい」シナリオだったんじゃないかなって思ったんですよ
最後に
悔いはないよ
お兄ちゃんの家の隣に住んでる幼馴染って設定になりたいな
って
きっと加奈も一線を超えることを望んでいたけれどそれを行わなかった二人の思いだなって
泣かない主人公の強さ、加奈が居なくなったとしても生きていくんだととても前向きな思いを抱えてるところがガツンと胸に来る
植木鉢の花は純粋で真っ白な加奈って意味なんだろうなあ
伊藤と夕美にいい顔してたのも辛かったですね、多分君のぞとかなら夕美とだらだら付き合っちゃう関係になりそうなんだけど
知的END2「おもいで」
ドナーの話と、加奈のおもいでと
確かに一生懸命生きた体から臓器を奪ってしまうことになったら辛すぎるが香奈も助けてあげたいという気持ちもあるから尚更
肝機能不全の香奈は母親も亡くなっているし選べねぇ…みたいな気持ちにもなる
加奈の日記は深い言葉が綴られていてどこを切り取っても死への恐怖もあるけども死への安心感があるようにも見え、そして人生の半分をずっと加奈に寄せてきた隆道への感謝の言葉とか考えとか恐怖から逃げようとするわけではなく「自然の淘汰」として受け入れようとするところもなかなか
願わくば、明日の私が今日の私より優れた人間でありますように
今日、海を見た
ノーマルや夕美エンドでは移植しちゃうので文字や文章を書くことはできないけどこちらの加奈は「受けいれる」という気持ちを残せているからそれもね…
泣くことでの思いの昇華、泣くことの重要さもわかる気がする
知的END3「今を生きる」
ノーマルエンドと知的エンド2をあわせた感じ
一番キレイな形に収まった加奈の思いの昇華及び夕美エンドってところ
夕美はどのエンドでも報われない恋だったので夕美結構好きな自分としてはアリなんじゃないかなーって
難しいのがほぼ「追憶」と「おもいで」の流れなんで正直みる順番違った感が
ベストエンド「はじまりのさよなら」
正直加奈を生きさせるエンドって無理じゃない？って事前情報から思ってたんですけどなるほど、腎移植で解決するわけで、納得
調べてみると移植も末期じゃないと受けれないんだと
加奈が義妹であったからこそできたことなのか実妹だったらできなかったのとか、いろいろ考えてしまう感じで
加奈は未来を感じて自立するところがまた切ない
兄と義妹という関係性を壊したのは隆道であり加奈ですし、健康になったからこそやりたいことをやりつくそうとしている様子がね
でも家にいることで兄と妹の関係は続くわけで
どんな加奈でも幸せに生きてほしいなと思った、そんなエンディング
