はるかぜどりに、とまりぎを。 レビュー

総評

懐かしゲームその1
15年前からに温暖化現象が進み真冬でも桜が咲く異常気象に襲われた2024年
温暖化現象故の海面上昇が起こり、陸地は海に沈み世界の人口の五割が謎の疫病「サトリ病」と言う自分の死期を悟ってしまう病気
そんな閉塞する世界でも人は出会い、恋をして、愛を育んでいく


世界観は最高です、透明感やレンズフレアが存分に生かされており当時のminoriと引けを取らないレベルの空気感を構築していたと思います、今で言う新海誠が構築するような世界観と言いますか
海面上昇で地上が海に沈んだ、なんていうのはまさに天気の子とかそのものなんですよね…こっちのが15年ぐらい先どってます
ATRIなんかも似てるかもしれません
世界と愛するものどちらを選ぶのだ、みたいなところもまさに天気の子っぽい
閉塞感がある世界にも関わらず光あふれる塗りや数多く舞う桜の花びら、海に沈んだ世界で見る電車の風景もあって不思議と「悲しい」イメージはありませんでした

小話として、「はるかぜどりに、とまりぎを。」プレイしたその当時は2024年なんて遠い遠い未来の話の印象でしたがあっさりとその時代を追い越してしまうのが笑ってしまうところ
そしてまあゲームとは違いますが別の閉塞感や住みにくい日常は現実でも起こってますし、案外ライターさんは未来予知していたのかも?なんて
ずっと昔から好意を寄せてくれていた義妹の春音を選ぶか、1年前に破局し再度出会った冬子と縁を戻すかみたいな支軸はあるものの基本的には春音の為のゲームです
「ずっと前」・「去年」・「現在」の三部構成になっていて、基本的には去年の元々の彼女との別離から流れるままに関係を持ってしまった春音との「現在」をつなぐゲームですがちょっとばかり分岐するというか
ただしこの美しい世界観からは到底感じ得ないSM調教ゲーもびっくりなエンドと泥沼の三角関係が用意されていて当時の自分は脳を焼きました
ただ、これだけモテる主人公なのにも関わらずハーレムはありません
故に「はるかぜどりに、とまりぎを 2nd Story~月の扉と海の欠片~」は未プレイです
最も「はるとま2~月の扉と海の欠片」が安くなっているのもあってプレイし直したと言う部分もあります(ゲーム時空が2024年2月だって言うのもあるけども)
物語は連続しているようで実は断片的な情報の結びつきになってるのですが過去を選びつつ改変していくので共通1本道
みずいろシステムのように過去がきちんと描かれている春音と元々の恋人であった冬子さんの間で揺れ動くのは当然として
サブヒロインであり春音の友人である秋穂との関係も相応に泥沼になります
ただ、過去との精算をつけつつ春音との関係を断る秋穂ルートの展開もあるので一応に主人公が悪いって言うわけでも有りません
最終ルートの鍵である籠女を見た後にTrueの「桃谷春音」のロックが解除されてこの物語が締められます
結局のところサトリ病ってなんだよ…?って言うオチには至りますが、
心揺さぶる!みたいなゲームでは無いものの、00年代の古き良き「エロゲ」テンプレートを噛みしめるならいいゲームだと思います
Naturalばりの調教SMエンドを受け入れる必要はありますが。
みとせのりこさんの「Seven Colors」はすごい名曲

シナリオ

設定である海面上昇や謎の疫病、退廃的な世界にも関わらず出会い、恋をし、愛を育む、そして別れと言う流れというか動線は個人的に嫌いではないです
と言うか寧ろ好みですね
そして主人公である真吾は教師である冬子との禁断の恋を犯し、学園側にバレて強制的な縁切り、というか離れ離れの関係に
後に再会して恋が盛り上がってしまうのですが…
その行動を察している義妹の春音は兄に対する恋心を押し殺し1年間好意を押し付けないように過ごします
結果論として義理の妹の禁断の恋を選ぶか一度は強制的に離別させられた教師との禁断の恋を選ぶかの2択状態
妹ゲーであるものの、比重としてはエロ担当のような冬子さんとの蜜月期も念入りに書かれてて春音のアタックを理解しつつも、現実問題としては年上可愛いお姉さん先生との欲望渦巻く蜜月に溺れ続けてしまうと言う1年前のストーリーが良く出来てると思いました
恋に溺れている状態の冬子さんと主人公の関係性は今見ると非常に尊く、「1ヶ月間抱き合って死ぬのと1週間抱きあった後は離れ離れに1年過ごす」と言うかなり現実的な破滅の未来を予想してるんですよね
「サトリ病」なる死に近い疫病が流行っているしその原因はわからない、この先二人共幸せに生きることが不明瞭だからこその尊さって言うものを若干感じたりします
その裏で春音は健気に兄のことを思いつつ病気と戦っているのでやっぱり春音の為にできてるゲームだなと
家族を選ぶか二人で先の見えない逃避行を続けるかと言う二択を迫られた結果、若い二人は情愛への気持ちへ押し切ることができず破局してしまうのがこのゲームの半分ぐらいの「去年」編
それでも気持ちは推しきれず、逃避行して快楽に溺れるのが当時は脳をバチクソ焼いたSM調教エンドなんですが構成的に今見るとなるほどね、って感じ
ただこれを事前情報無くぶち込まれる(その上少ないプレイ本数のエロゲー)とそりゃ焼かれますわと言う
義理の妹を選びながらその友達に手を出すのが「現在」編であり秋穂ルートです
総評でも書きましたが一応秋穂は冬子さんとの関係を精算しつつ春音との関係を断るきちんとしたルートもあるので過激ではある一面も持ちながら全部が全部流された結果の主人公ってわけでもないので優柔不断とも言い難い部分は持ち合わせてるなぁと
間男みたいな状況である一方、亮太は秋穂との関係性を進めるわけでも精算するわけでも無い状態で秋穂からの愛情を受け取りつつ好きな女に手を出すという状況を感受していたのであんまり殴られる理由はないんじゃないかなって言うところも思いました
それでも体の関係は埋めれても心は埋めれず、時間を過ごしていくんだと言う終わり方でしたがドロドロっぷりも含めて割と好きです
潜水艇を使って沈みゆく街の中を眺めて変わらないものはあるけども変わっていく心や街があるんだよね、なんていうのはCG含めてめっちゃ美しかったですし
籠女・True「桃谷春音」は本当になんというかTHE エロゲテンプレート
世界を選ぶか自分の幸せを代償に過去の改変をしつつ春音を選ぶか
世界系のテンプレートみたいなかけらのツギハギに見えますが一応は物語の成り立ちとして美しいと思いました

CG・Hシーン

蔓木鋼音先生と唐辛子ひでゆ先生


塗りにしろスチルにしろめっちゃ気合入ってて綺麗です、世界観にマッチしてる
沈みゆく街・世界は非常に儚く美しい
Hシーンはかなり多い反面スチルは使いまわし気味ですね
それとまあ人によりけりですが脳を焼くBADエンド、これをどう評価するか
春音と籠女には無いのでご安心を?



FANZA500円セール対象常連ゲーなので、「とりあえず」購入しておくっていうのも有りだと思います

当時は冬子さん好きじゃなかったんですが、再プレイしたらめちゃくちゃ好きでした、結ばれないからこその恋愛と言う美しさも感じました